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パラトルモン製剤について
骨粗鬆症の有病率と危険性
現在、日本における骨粗鬆症の患者数は1300万人と推定されています[1]。
たかが骨折、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、骨折により生命予後に影響を及ぼすということもわかっています。特に、大腿骨近位部骨折では、受傷後1年間の死亡率は10〜35%とされています[2]。
図1にも示されているように、大腿骨近位部の骨密度の低下とその後の生存率には有意な因果関係が認められます[3]。
上記の理由で、言うまでもなく骨粗鬆症の治療は大切であると判断されますが、骨粗鬆症の患者の5分の1程度しか治療を受けていないとも言われています[4]。
また、骨粗鬆症検診率も高いとは言えず、年代別に見たデータではいずれの年代でも5%前後となっています。骨粗鬆症検診率と要介護度には有意な因果関係があり、検診率が高いと要介護度が低い、というデータも出ております[5]。
骨粗鬆症の診断、及び治療にはまだまだ進歩が必要だと考えられます。その骨粗鬆症の治療の選択肢として、近年新たに加わったものがパラトルモン製剤です。今回のコラムではパラトルモン製剤の特徴と有用性について触れてみたいと思います。
パラトルモン(PTH)とは?
血液の中にはカルシウムが含まれ、その濃度は体内から放出されるホルモンによって調節されています。パラトルモンは副甲状腺から分泌されるホルモンで、パラソルモン、上皮小体ホルモンとも呼ばれ、血液中のカルシウム濃度を高める方に働きます。 骨はカルシウムの貯蔵器官となっていて、パラトルモンが作用すると骨が破壊され(骨吸収)、カルシウムが血中に放出されます(図2)。
そのため、パラトルモンが過剰になると、骨の破壊が進行し、骨粗鬆症になると言われています。
パラトルモン製剤の有用性
では何故、パラトルモン製剤が骨粗鬆症の治療に有用なのでしょうか?
パラトルモンを持続的に投与すると、上記の作用の通り、骨吸収が促進して骨が脆くなってしまいます。しかし、間歇的にパラトルモンを投与すると、骨形成の時に働く骨芽細胞の分化を促したり、骨芽細胞の細胞死を防ぐことにより、新しい骨の形成が促進されるのです(図3)。単に骨の密度を増加させるだけでなく、骨の微細構造を再構築する働きもあり、優れた骨折予防効果があることがわかっています。
現在、日本で承認されているパラトルモン製剤の成分は、遺伝子組み換えのヒトパラトルモン製剤である、テリパラチドのみです。テリパラチドを投与した群では、プラセボ群と比較して有意に骨密度が上昇し、骨折のリスクが低下したというデータがあります(図4)[6]。
また、機序は不明のようですが、腰や背中等の痛みも改善されたという症例もあるようです。今のところ注射剤しかありませんが、自宅での自己注射による治療をすることができます。糖尿病のインスリン注射のように用量の設定も必要ない為、注射手技も簡便で、しっかり指導を受けさえすれば高い割合で治療を継続できているみたいです。自己注射が難しい場合も、週に1度の病院受診時の注射による治療も可能です。
長期投与の安全性が確立していないので、現在のところは投与期間に制限はありますが、骨折を予防でき、痛みをとることでQOL(Quality Of Life:生活の質)を高める薬剤であることは間違いありません。これからの骨粗鬆症治療の選択肢の1つとして知っておいても損はないかもしれません
ね!
参考文献
[1]
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 2011
[2]
日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,厚生労働省医療技術評価総合研究事業
「大腿骨頚部骨折の診療ガイドライン作成」班編集
大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン
[3]
Suzuki T ,Yoshida H. Low bone mineral density at femoral neck is a predictor of increased
mortality in elderly Japanese women. Osteoporos Int. Jan;21(1):71-9. Epub 2009 Jun 5
[4]
日本骨粗鬆症学会/財団法人日本骨粗鬆症財団 : Osteoporosis Jpn. 10, 637-697, 2002
[5]
財団法人 骨粗鬆症財団:Osteoporosis Jpn. 15(4):649-655,2007
[6]
日本イーライリリー株式会社 フォルテオ皮下注キット600μg 資料
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