モイストウンドヒーリング(湿潤環境下の創傷治癒) |
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長年、「キズは乾かして、カサブタを作って治す」という考え方(ドライヒーリング)にもとづいて創傷治癒が行われてきました。しかし1960年代に「キズは浸出液を保持し、湿潤環境においたほうが、乾かすよりもはるかにはやくなおる」という研究結果が発表されました。 |
以後、創傷治療は“乾燥から湿潤へ”と大きく変換しました。現在、医療現場ではキズのタイプと状況に応じて、適した様々な創傷被覆材(ドレッシング材)が使用されています。 |
また、最近では医療用と同じハイドロコロイド素材を使った家庭用のキズケア製品も登場し、一般の人の関心も急激に高まってきているようです。 |
浸出液が創傷治療に果たす役割と皮膚再生の仕組みの関係が、創傷治癒には重要です。 |
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細胞の成長や再生を促すサイトカインや細胞増殖因子を含む浸出液が保たれるため、皮膚の自然治癒力が高まり、早く治癒する。 |
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湿潤環境が保たれ皮膚の再生がスムーズに行われるため、キズ跡が残りにくく、きれいに治る。 |
B |
湿潤環境では白血球がより活性化されて細菌の増殖を抑えるため、感染率が低い。 |
C |
創傷面を閉鎖することにより、炎症反応の原因となる異物の侵入を防ぎ、また乾燥による細菌の死滅を伴わないため、神経への刺激が少なく疼痛の軽減が見られる。 |
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乾燥させた場合(ドライヒーリング) |
皮膚の再生がかさぶたに妨げられる。 |
(表皮の新しい細胞が、乾燥を避けながらかさぶたや壊死した真皮の下をゆっくりと進む) |
潤いを保った場合(モイストウンドヒーリング) |
表皮の再生がスムーズ。 |
(ハイドロコロイド素材などでできた創傷被覆材でキズ口を覆うと、表皮の新しい細胞がキズ面の浸出液の中をスムーズに遊走するので、浸出液に含まれるサイトカインなどの働きにより、キズの治癒が進む) |
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家庭で行うキズケアの基本 |
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家庭でケアできるキズ |
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包丁などで切れた、キズ口が直線的なキズ。 |
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皮膚の表面の軽いすりキズ など。 |
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医療機関を受診したほうがよいキズ |
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家具の角や壁にぶつけてできたギザギザのキズ。 |
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砂や土、ガラス、木片、衣類の繊維などが入り、水で洗い流しただけでは取れないキズ。 |
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2〜3分たっても血が止まらないキズ。 |
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動物に咬まれたキズ、化膿したキズ など。 |
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*家庭でできるケアの場合* |
ステップ1 |
水でキズ口を洗浄する |
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まずは水道水でキズ口を洗い流し、異物や細菌を取り除く。このとき、異物や細菌が残っていると、感染の原因になる。 |
ステップ2 |
キズ口をおさえて止血する |
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清潔なタオルやコットンでキズ口をおさえ、血を止める。 |
ステップ3 |
キズ口を保護する |
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キズ口にでてきた浸出液を乾かさず湿潤環境を保つように、救急絆創膏などでピッタリ覆うこと。適したハイドロコロイド素材などを使用したキズケア製品を使うと、より手軽に実現できる。 |
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FROM:ひまわり薬局 |