腸管出血性大腸菌による食中毒 |
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腸管出血性大腸菌とは |
大腸菌のなかでも、文字通り腸の細胞を破壊して出血を起こす菌のことを言います。最近話題となりましたO111やO157などが代表的なものです。 |
※大腸菌は大きく細胞壁由来のO抗原と鞭毛由来のH抗原に分類されます。「O」はここからきています。また番号は大腸菌の抗原として発見された順番です。 |
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症状 |
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潜伏期間は2日〜9日程度です。他の食中毒を引き起す菌と比べると長いです。 |
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初期症状としては水状の血便と激しい腹痛が特徴的です。ただし大人の場合、感染しても無症状だったり、軽い下痢ですむ場合も多いです。 |
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重症化すると、脳症や溶血性尿毒症症候群(HUS)などの重篤な合併症を起こし、死に至ることもあります。下痢などの初発症状の数日〜2週間以内に発症するといわれています。いずれも腸管出血性大腸菌が生産するベロ毒素による脳血流障害と神経組織の直接障害、腎臓を始めとする毛細血管内皮細胞、糸球体血管内皮細胞の破壊が原因と言われています。 |
※HUSの初期症状としては顔色不良、乏尿、浮腫、意識障害などがみられます。 |
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腸管出血性大腸菌の特徴 |
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熱に弱く75度1分間の加熱で死滅します。 |
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消毒にもかなり弱く、アルコール消毒、漂白剤、塩素消毒など一般的な消毒で死滅させることができます。 |
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低温には強く冷凍庫でも生存の可能性があります。ただし冷蔵庫、冷凍庫に入れることにより増殖防止には一定の効果があります。 |
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温かくて(30度〜40度)、水分と栄養源があればどんどん増殖します。大腸がこの条件にぴったりあてはまります。 |
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酸には強いため、口から侵入して強力な胃酸にも耐え、増殖可能な腸に到達して発症します。 |
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予防対策 |
感染経路は飲食物を介した経口感染で、汚染食物を摂取したり、患者の糞便に含まれる大腸菌が直接または間接的に口から入ることによって感染します。空気感染や接触感染はありません。 |
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人から人への感染を予防する基本は手洗い。石鹸と流水で十分に手洗いをする。 |
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食肉や食品はしっかりと加熱する。(熱源は火、IH、電子レンジなんでもOK) |
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生肉を扱った調理器具(包丁、まな板等)は速やかに洗剤で洗浄し、熱湯消毒などを行う。 |
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ふきんやスポンジは、腸管出血性大腸菌の増殖条件が整いやすいので、十分に熱湯や漂白剤、洗剤で消毒する。乾燥も効果あります。 |
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焼き肉やバーベキューでは、焼く箸と食べる箸は使い分ける等。 |
梅雨に入り、高温多湿で菌にとっては最適な季節となり、逆に人間にとっては体力を消耗しやすいイヤな季節となりました。食中毒対策としては、まずは上記のような予防を十分に心がけましょう。そして、睡眠、栄養をきちんと取り、感染しても重症化しない体力づくりに努めましょう。また、発症した場合は自己判断で下痢止めを飲んだりせず、速やかに医療機関を受診しましょう。 |
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FROM:なぎさ薬局 |