フットケア外来について |
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フットケア外来というものをご存知ですか? |
フット=足、ケア=介護・保護という意味ですが、これを専門の病院の外来でやってもらうのがフットケア外来です。 |
足に関するトラブルは様々で、フットケアと言っても場所によって爪(巻き爪など)に関するもの、皮膚(タコ・ウオノメなど)に関するもの、糖尿病に関するもの、リウマチなど関節に関するものなど様々です。 |
糖尿病患者さん以外のフットケアも併せて行っているフットケア外来もありますが、今回は中でも主に糖尿病を患っている患者さんの足をケアするためのフットケア外来でどのようなことをしているのかを紹介したいと思います。 |
その前に、なぜ糖尿病だけ??と思われる方も少なくないかもしれません。足の病変は一般的に気付きにくいとされており、糖尿病を患っていると血行障害と神経障害(神経障害は三大合併症の1つ)で更に気付きにくく、また悪化しやすいためです。細菌にも感染しやすいです。糖尿病の悪化で足を切断する方がいらっしゃいますが、靴ずれ・タコ・ヤケド・ケガなど → 化膿 → 潰瘍 → 壊疽 → 切断 といった経過をたどります。 |
この次のステップに続く各矢印の段階で症状を抑え、切断までいたらないようにするためのフットケア外来です。 |
「一生自分自身の足で過ごす」が目的なのです。
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では、フットケア外来はどのようなことをするのでしょうか?病院によって様々あると思いますが、一例を紹介したいと思います。 |
(今回は水俣市立総合医療センターのフットケア外来を参考にしています。) |
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まずは検査をします。アキレス腱反射や振動覚、触圧覚、触覚、痛覚、温度覚などをして神経障害の程度をチェックをします。更にチェックシートを使い問診し、リスクの高さやケアの期間(1ヶ月に1回〜1年に1回など)を決めます。
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そして実際にフットケアに入ります。 |
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まずは40℃前後のお湯で足浴をします。神経障害があると温度が分かりにくくなるので温度の確かめ方などを確認しながら行います。 |
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足浴後にアクア水で洗い流します。ちなみにアクア水とは、次亜塩素酸ナトリウムに酸を混合し、弱酸性にして生成された次亜塩素酸水(HOCl)のことで、種々の殺菌・消毒・防臭に効果があるとされています。 |
B |
次に爪のケアです。糖尿病だと細菌感染しやすいですから、爪水虫によって爪が肥厚することも少なくないそうですので、爪が肥厚すると上手に切らないと切りにくいですし、傷がつけば細菌感染の可能性もあります。切り方を見て、場合によっては家族も一緒に、しっかり教えてもらうのも大切です。 |
C |
続いて皮膚のケアです。タコやウオノメ、角質のケアをします。削り過ぎないように注意します。 |
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糖尿病では乾燥しやすいことから適切な保湿剤を使います。爪水虫など各症状に軟膏などの処方薬があれば塗布するなど処置も行います。保湿剤は家庭でも入浴後などに塗布すると良いです。 |
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また、この他にも糖尿病患者における足の病変の誘因は圧倒的に靴ずれが多いことが分かっています。このため適切な靴の選び方や靴下の選び方など様々な指導・助言を行います。 |
実際にフットケアを受けると多くの患者さんで効果を実感するそうです。 |
糖尿病のみならず、全ての病気に対して治療には正確な知識が必要です。何か起こってしまった後で知らなかったからでは済みません。知っていれば予防することも可能です。 |
統計上、世界で30秒に一人の割合で糖尿病足病変によって下肢の切断が起こっているとされ、全下肢切断の70%が糖尿病の患者さんであると言われています。また、全切断の85%は足潰瘍が先行して発症します。適切にフットケアをしていけば85%以上と高確率で足潰瘍を予防可能になっています。つまり、適切なフットケアを行えば下肢の切断を高い確率で防ぐことが出来るのです。
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総合病院や糖尿病を専門にする病院では定期的に糖尿病に関する勉強会(患者様向け)が行われていることもあります。積極的に参加されてはいかがでしょうか? |
まずは自分自身の知識・興味を深めていくこと、それから正確な知識で適切な指導・助言を受け実践していくことが大切です。 |
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糖尿病足病変・・・WHO(世界保健機関)では、「神経障害や血行障害を合併した糖尿病患者の下肢に生ずる感染症、潰瘍、深部組織の破壊性病変」と定義されています。 |
三大合併症・・・・糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害のこと。 |
FROM:かりん薬局 |