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最近の糖尿病治療薬について
   
今や糖尿病は生活習慣病の1つとして皆さんの耳にもよく入ってくるようになってきました。そして今までも様々な薬がありましたが、ここ1〜2年で新しくお薬(飲み薬・注射薬)が登場してきました。今回は系統別に紹介したいと思います。
まずは糖尿病とはどういう状態なのでしょうか?知っている方も多いとは思いますが、少しおさらいしておきましょう。
読んで字の如く「尿に糖が混ざる(漏れ出る)状態(病気)」という風に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、簡単に書くと糖尿病とは耐糖能(血液中の糖分、すなわち血糖を正常値まで下げる能力)に異常がある状態の事で血糖値が正常値以上に上がった(正常値に下がりきれない)状態が維持される事をさします。
尿に糖分が混ざる(尿糖が出る)ことは糖尿病の患者さん(実際にはかなりの高値でなければ常時尿糖が出る事はあまり多くはない)のみならず、食後に血糖値が上がりすぎると健常人でも漏れ出る事がありますので尿糖が出たことのみで糖尿病と確定診断されることはないという事になります。尿検査で尿糖が調べる事がありますが、糖尿病の疑いがある人をふるい分ける事(スクリーニング)が目的です。また、糖尿病の確定診断にはいくつかの検査が必要になりますがここでは省略します。
では現在日本において治療に使用される糖尿病治療薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
最近は新薬の開発も活発化してきていますので、新薬も含め系統(体内での作用の仕方が同じ分類)別に分けてみます。
<飲み薬(内服薬)> ・・・ 記載順に薬の強さなどは全く関係ありません。
  @ α−GI(α−グルコシダーゼ)阻害剤
小腸での糖質の吸収を遅らせる事により食後の高血糖状態を改善させる薬。
  実際の人間の体内では食事をとるとすぐにインスリンが分泌し始め、ある一定以上には血糖値が上がらないようになっているのですが、自分の耐糖能で処理できる以上の糖質が一気に入ってくると血糖値の上昇を抑える事ができず通常よりも高くなってしまいます。そこで少しずつ吸収させることにより食後の過度の高血糖状態を改善させることができます。
  A SU(スルホニルウレア)剤
インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬。
  B 速効型インスリン分泌促進剤
    速攻かつ短時間の作用を示し、インスリン分泌を促進し、食後高血糖を改善する薬。
  C DPP−W阻害剤 ・・・ 最近登場し話題の新薬です。
    食後に小腸から分泌されるインクレチンというインスリン分泌促進ホルモンの分解を抑える事によりインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる薬。
  インクレチンが食事に応じて分泌されるため、当然食事終了後や食事をしていない時間には分泌されません。となると他のインスリン分泌薬で問題となりやすかった低血糖の副作用も出にくいため使いやすく、ほとんどの薬が1日1回の服用ですみ24時間効くため飲み忘れ防止も期待できます。もちろん効果も十分あり期待の新薬とされています。
  D BG(ビグアナイド)系薬剤
    主に、肝臓において糖を作り出す作用を抑制する薬。また筋肉での糖の利用を高めることにより血糖値を下げる薬。
  E チアゾリジン系薬剤
    膵臓からインスリンが出ているにも関わらずなかなか血糖値が下がりにくい「インスリン抵抗性」の状態を改善させる薬。インスリンの働き(末梢組織などへの糖の取り込み)を助ける薬。
  @のように吸収を遅らせる薬、A〜Cのように最終的に膵臓に作用しインスリンを分泌させる薬、DやEのように膵臓以外に作用する薬があり、患者さんの状態・タイプに応じて医師が判断し使い分けます。また複数種類を併用することも多いです。
     
 
<注射薬> ・・・ 現在はインスリン以外の注射薬も登場しました。
  @ インスリンそのものを注射する薬
    一般的にイメージされる「糖尿病の注射」だと思います。作用時間を調節してあるインスリンを注射します。食後のみに効果を示す超速効型から長めに効果を示す中間型、24時間効果を示す持効型まであります。また速効型と中間型を混合してあるミックス型もあります。(同じ2種類の混合剤でも混合比率が異なるものが数種類あります)
    患者さんの状態に応じて医師が選択し使い分けます。
  A GLP−1受容体作動薬
    インクレチンの1つであるGLP−1(インクレチンとはインスリンを分泌させる能力を持つホルモンの総称で小腸から分泌され血液を通り膵臓に届く。)を分解されにくく改良しこれを注射する薬。最近登場した新薬。
  DPP−W阻害剤を使用していない状態では自然分泌されたインクレチンはDPP−Wによって分解され、効果は数分しか持ちません。このインクレチン自体の作用を長続きさせることによってインスリン分泌を促進し、血糖値を下げる事ができます。
  よく「注射は最後の手段でしょ?」「注射だけは絶対イヤだ!」などと悲観的な印象を持つ患者さんもいますが、そんなことはありません。確かにインスリンが全く出ない状態であればインスリン注射が必須となりますので最後の手段と言えなくもないですが、一度インスリン注射に移行した患者さんでも状態がよくなれば内服薬のみに戻ることもあります。これは完全にインスリンが出なくなる前にインスリン注射を使用することにより膵臓からのインスリン分泌が回復することがあるためです。一旦膵臓の負担を軽くし休めてあげる事で機能が回復するようです。インスリンの効果自体はどの内服薬よりも確実ですし、元々の体内でのインスリン分泌リズムを考えてみると時間的・量的に一番自然な状態に合わせる事が出来るのです。血糖コントロールするためのアイテムと考えるとインスリン注射は悪い物ではないのです。ただ、ちょっと内服薬に比べると手間がかかるのは事実ですが・・・。
新薬も登場し格段に糖尿病治療が進歩してきていますが、内服薬に固執しコントロール不良状態が続き合併症を引き起こしてしまうような事を考えるとインスリン注射を勧める事もあります。
     
<その他の薬>
  直接血糖値を下げるための薬ではなく様々な合併症の治療に使用する薬もあります。
  例えば合併症の1つである末梢神経障害におけるしびれなどの症状を改善させるような薬がありますし、同じく合併症の1つである腎障害の治療に血圧の薬であるイミダプリルやロサルタンカリウムを使用するなど他の病気の治療薬が使われることもあります。
 
最後に、糖尿病の治療で大事なこととはなんでしょうか?色々あるとは思いますが、やはり合併症を起こさない事だと思います。糖尿病の3大合併症といえば、神経障害・腎障害・網膜症となりますが、その他として細菌に感染しやすくなったりもします。そういった合併症を予防することが重要なのです。そのためにきちんと治療しないといけません。もちろんどの薬にも低血糖以外に副作用は存在します。まずは正しい知識・正しい使い方を知って頂く事が必要です。そのうえで正しい治療を受けて頂き、出来るだけ長く楽しく過ごして頂けたらと思います。
 

FROM:かりん薬局


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